ちょっと凹凹

つらつら考えて・・・くよくよぼやきましょう

「8.8%に障害の可能性」ニュースで??

元同僚からのmailで知った「8.8%」のニュース。時間が経って拡散が進んでいるようで、あちらこちらで見るようになりました。

個人的には「何を今更」という感じですし、6.3%時代だって「四分の一は何らかの支援がいるんじゃないの?」と喋って回っていましたし、今でも教室にコンサルで入ると、3~4割は気になる動きが見えてメモの対象になります。

前の6.3%の時もそうでしたが、こう云うのって平均の数字じゃないですか。調査対象の下部である小学校担当としては、普通にこの数字より高くなっていると考えなきゃイケない訳です。「ニュースだけ視ていたのでは真実が見えない」「発信源に近い情報を把握しよう」は情報教育の基本です。

そこで、文部科学省のサイトを覗いてみました。リンク貼ります↓

www.mext.go.jp

このページのちょい下から、PDFの調査結果資料(全36ページ)を開く事ができます。

 

このニュースを知って最初に思ったのは、「担任による申告調査」だと、ムラが出るだろうなぁ、という点でした。資料32ページから末尾まで調査の質問項目があります。見て頂くと解りますが結構な量です。これをクラス全員分?と思ったらそうではないんですね。資料の中に

「抽出された学級において、原則、小学校・中学校においては 10 名(男女それぞれ 5 名)の児童生徒、高等学校においては 20 名(男女それぞれ 10 名)の生徒を単純無作為抽出し、標本児童生徒とする。」

とありまして、小学校担任は無作為選出10人の児童について答える形になっています。小学生だけで標本約36000人。回収率は全体の84.6しかないので、推測になりますが、小学生約3万人の統計ということになります。

質問項目ですが、ちょいと加工すればチェックシートとして普段使いに使える様なモノです。委員や協力者の顔ぶれからすると、これは当然だよなぁと思いました。講義を受けたい人ばかりなのですもの。

これらの項目を担任がチェックしたということですが・・・

 

現場で、支援を希望する児童1~2名について、これより遥かに簡易なチェックシートを担任に書いてもらうんですが、自分の看取りと違いが出ることが結構ありました。

集団視点と個視点では同じ景色でも見えてくるモノが違うし、何より「目立ってないけど困っている子」の拾い上げが得意な教師は少数派だと思います。

 

具体的に見ると、「言葉に詰まったりする」のは、割と気付きやすいと思うんです。これに気付けなかったら、子どもとの接し方を考えないと・・・あ~、でも、担任の先生にはスムーズに話せても、隣のクラスの先生と話す時には詰まっていたり・・・とか?難易度高めだと思ったのは「聞きもらしがある」です。だって、聞き漏らしていることに担任が気付けなきゃチェックが入らないのですから。

もう、こういう見方をするだけで、8.8%が信じられなくなってきます。

 

資料の8ページには学年別の数字が載っています。小学校教員はココを見なきゃ!

小学校全体で10.4%だよ。これでも実際よりは低いと思いますけど。1年生の12%が最高値で、5年生の8.6%が最低値です。多少前後はあっても、学年が上がると数値が下がる傾向が見て取れます。

学習面の困難さは1年生の9.1%から6年生の6.4%まできれいに減少しています。多動面では2年生の5.8%が最高値で5年生の3.7%が最低値、コミュ面では2年生の2.4%が最高値で4年生の1.5%が最低値となっています。総じて発達に応じて減少傾向があります。コミュ面で4年生が最高値というのも高学年の人間関係を思い浮かべると解るように思います。

 

資料の数字だけ見ると、小学校としては、「中学年で1割程度、低学年で1割越え、高学年で1割弱」と云うことになります。

加えて、

「・・・学習面又は行動面で著しい困難を示すとされる基準には達していないが、基準近くに分布している児童生徒も一定いることが伺える。このことから学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒以外にも特別な教育的支援を必要としている児童生徒がいることを念頭にどのような支援を行うことができるのか検討する必要がある。」と資料の中で考察されています。

いつだって、グレーな部分が困りやすいんですよね。線を引かれたすぐ上の子たち?この辺りの対応は制度的には難しい問題もあると分かりますが・・・担任なら出来ることもあるかなぁと思います。

 

考察には、小中間の差が大きいことについて、引継ぎの不十分さや教科担任制による観察力低下があげられています。引継ぎが生きるかどうかは受け手側の教師によります。大抵は、何か問題行動がない限り質問されることはなかったけれど、学習のしにくさについて質問に来て頂けた中学教師も数人いらっしゃいました。また、学担制のメリットデメリットはありますが、少なくとも「教師の負担を減らすために小学校でも教科担任制を」というのは違うんじゃないかなぁ。小学校教員の負担を減らすなら、まずは授業時間を週25時間にしましょう!

授業での支援、配慮については、54.9%でやっているんだそうです。これもそのまま信用できるのかなぁ?

黒板上の掲示物を教室後ろに移動して「配慮しました」と終わってたりとか?児童の実態に合わせた教室なんて3割あるのかなぁ・・・

専門家との連携が14.8%です。SchoolCounselorなどは中学の方が多いでしょうから、小学校はこれより低くなるのでは?色々考えちゃいますね。

 

最後になりますが、留意事項に

「本調査における「Ⅰ.児童生徒の困難の状況」については、学級担任等による回答に基づくもので、発達障害の専門家チームによる判断や医師による診断によるものではない。従って、本調査の結果は、発達障害のある児童生徒数の割合を示すものではなく、特別な教育的支援を必要とする児童生徒数の割合を示すものであることに留意。
 ・本調査は、平成14年調査、平成24年調査と対象地域や一部質問項目等が異なるため、単純比較することはできないことに留意。」

とあります。資料本文中にも同様の内容があります。

でも、すでに報道から受けるイメージは「障害児が8.8%」です。間違った情報ではありますが、それによってイイ方向になるなら別に構わないんですが、どうなんでしょう?しかも比較はバンバンされちゃってます。

mailを送ってくれた元同僚さんは「だから、どうする?ってことが大切だとは思いますねぇ。。」と書いてました。ホントだよねぇ・・・現場としては「割合がどうの」じゃなくて、出来る支援が何かを考える方が大事だよねぇ。